<要約>
自分のアメリカ好きぶりをアピールする御手洗冨士夫氏。
党内情勢から政治家の体調についてまでペラペラと大使に喋る奥田碩氏。
以下電文ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー>
<概要>
2006年5月23日、
新任の経団連会長である御手洗冨士夫は「日本の外交上の最重要相手国は米国に他ならない」とシーファーに語り、また、シーファーの「日米経済の一層の統合を考えるべき時期が来た」という見解に同意した。
一方、前会長である奥田碩は、日本企業は日本と中韓の外交関係の悪化を懸念していると述べ、また、彼と御手洗は今回の会談の後に、中韓の大使館も訪れてどのように自分達がどのように外交関係の改善に貢献できるかを尋ねるつもりだと付け足した。
そして話題が国内政治に転じると、奥田は、近日中に行われる自民党総裁選は実質上安倍と福田の二人の戦いであり、おそらく前総理の森と小泉が状況を調整して二人のうちのどちらかを自派閥の代表にするだろうと述べた。
奥田は、自分は福田を支持しており、安倍はまだ経験が不足しているため今回は譲って次回に回った方がいいと暗に示した。
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2006年5月23日、翌日の経団連会長交代に先立って、新総裁である御手洗冨士夫と前総裁である奥田浩がシーファー大使の元を訪問した。
奥田は、自分は経団連のトップを四年間つとめきた、今はもう新しいリーダーにゆだねるべき時期だ、と述べ、また、会長退任後はトヨタのCEOからも退くつもりだとも言った。
奥田は、在米歴23年の御手洗は米国の良き友人になるだろうと言った。
御手洗は、
自分はキャリアのほとんどを米国で過ごし、それは日本も含むあらゆる国の中で最も長い。自分は米国でビジネスの何たるかを学んだ。米国人の友人も大勢いる。これからの経団連総裁の任期において新しいアメリカ人の友人を作れることを楽しみにしている、と述べた。
<日米経済の統合の推進>
シファー大使は「米国と日本のより一層の経済的な統合にむけて準備は整った。日本経済の代表である経団連はこれを促進してくれるだろう」と述べた。
御手洗はそれに同意し、日本にとって対米関係は他の何よりも重要であると述べ、また、ビジネス円卓会議と日米経済協議に参加することを楽しみにしていると述べた。
<日中韓関係における懸念事項>
奥田は、日本企業は日本と中韓の関係悪化を懸念しており、また、彼と御手洗は今回の会談の後に中韓の大使館も訪れてどのように我々がその改善に貢献できるかを尋ねるつもりだと述べた。
彼は小泉首相がアジア諸国のビジネス上の重要性に対して「聞く耳持たず」であることに不満を漏らしており、半ば冗談気味に、ブッシュ大統領から直接彼に対してアジア諸国との関係改善を要求してくれればいいのにと言った。
奥田はまた、胡錦濤の米国訪問が上手く行かないことがないかと懸念している、と述べた。
シーファーは、米中の間にはいくつかの小さな摩擦はあるものの、その会議に関してはお互いに対話に従事していると述べ、またブッシュ大統領は、小泉総理大臣に、過去五年間の友好関係に謝意を表明する為にワシントンへ招待することを熱心に望んでいると述べた。
<自民党時期総裁選について>
また、国内政治に話題が転じると、奥田は自民党総裁選の候補は安倍と福田の二人に落ち着くだろう述べた。
奥田は、前総理である森と小泉が、候補を一本化する為に派閥間の利害を調整するのではないかと考えており、この総裁選は事実上森派内の争いになるだろうと述べた。
奥田は、外相の麻生と財務省の谷垣は、事実上選挙に勝つチャンスは無く、立候補はするだろうが既に負けが決まっていると述べた。
彼は他のダークホースの可能性を除外した上で、総裁選は二人の候補に落ち着くだろうと述べた。
奥田は福田が力強く安倍を追い上げていると述べ、また、防衛大臣の額賀は津島派出身の有力候補であるが、彼も含め他の候補が本当に立ち上がるのかは疑わしいと述べた。
彼はまた、今回の総裁選挙は福田と麻生と額賀にとって最後のチャンスになるだろうと述べ、この次の総裁選挙からは安倍のような新しい世代がメインになるだろうと述べた。
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奥田が言うところによると、
奥田は安倍に今回は「健康上の問題により」などと言って出馬は諦めろと伝えたのだという。
彼は、
小泉の経済財政諮問会議の席で安倍の向かいに座ったところ、安倍の顔の肌の色が悪く、そのどす黒さは、安倍が肝臓に病を抱えているという噂とも合致している、と述べた。
奥田は、もちろん「健康上の問題」などというのは単なる方便であり、安倍は次の内閣では経験を積むべきだと述べた。
<コメント>
奥田はおそらく純粋に、会長辞任と政財界からの引退を切望しているようである。
彼が退任後にまずやりたいのは、船と陸路だけで世界を旅することだそうである。
彼は、自動車で米国の大陸横断道路を走破し、話で聞いたことのあるルート66のような景色を実際に眺めに行きたいと言った(そして実際、彼は会談の後に90日以上滞在用のビザを申請する為に領事館セクションを訪れた)。
総裁選挙の候補が森派からのみ出馬するという彼のシナリオが、単なる予想か、それ以上の希望的観測なのかは不明だが、彼の福田支持に関しては、日中韓の関係悪化を憂慮した疑いの無い見解であることは理解できる。
一方、御手洗は、今回の会談中ずっと奥田の後ろに控えていた。
彼は24日に正式に経団連会長に就任し、今後、日米間の経済的な議論におけるより積極的なパートナーとなるであろう。
御手洗は米国と親密な関係を築くことを切望しており、また、来年のワシントンDCでの会議についても言及していた。
文責:シーファー
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WikiLeaksソース:
http://wikileaks.org/cable/2006/05/06TOKYO2879.html